高らかな声と共に頭上から大きな羽音とやけに激しい風が吹き荒れて、彼は手で目を覆った

退いてと言われてもあまりの風圧に身動きが取れずシノはその場にしゃがみこむ

『ちょ…お兄さーーん!潰れるよーーん!』

心なしか焦ったような声がして、バサッバサッという音はだんだんと大きくなり、やがてシノのすぐ近くまで迫っていた



ドシーーーン‼︎‼︎


地面が大きく揺れ、シノの真下に落ちた巨体は砂煙を巻き上げ周りが全く見えなくなる

遠くから見ていたリィナは砂が目に入らぬようフードを目深に被った


『おにーーさーーん?大丈夫カナ?』

「ケホッ…ケホッ…一体なんですか…」

段々と視界が晴れてきてシノは悪態つきながら漸く目を開けると

まず目に入ったのは目の覚めるような鮮やかな銀色

次にキラキラと輝く蒼いビードロ

何者かに顔を覗き込まれているのだと気づくのに少し時間が掛かった


「え…は…?」

状況が把握できず其れの視線から逃れるように顔を背けるとシノの左右には長く伸びた鋭い爪を持った脚があり、少しズレていたらと思うと思わず身震いした

『あんりゃー、お客さんラッキーだったニャー♪メンリルちゃんに踏みつぶされなくて』

「メンリル…?というか、さっきからその声耳につくんですよね…」

何処からか聞こえるケラケラと高い笑い声にイラつきながら彼は少しもたついてその場から脱出する

そして、リィナの元まで行くとシノは恨めしげな目で見つめる

「死ぬかと思いましたよ」

「死んでないからいいじゃないか」

愉しげに笑う彼女にもう何も言えなくなり、とりあえず目の前の奴らが何なのか把握しようと努めた