「おい、犬っころ」

「…はい、なんでしょう?」

リィナは突然立ち止まり、クルリと身体をシノへ向ける

相変わらず辛気臭い顔をしている彼の横に立ち少し屈めと命令すると反発する元気もないのか素直に膝を曲げて彼女と同じ目線になる

「どうかしまし……」

「……ん」

チュッという可愛らしいリップ音と共に頰に柔らかい感触がして

思考が一瞬止まった

「な…な…なにを!!?」

身体中の毛を逆立て慌てふためく彼を見ると満足気に微笑み、先ほど唇を当てた場所を撫でる

「いつまでそんなつまらない顔してるんだ?それじゃ、折角連れて来た意味がないだろう」

彼女の思ったより優しい仕草に暫しキョトンとしていたシノだったが、やがて身体をふるふると震わせて

「リィナさぁぁぁん!」

感無量っといった感じで思わずリィナに勢いよく抱きつきギュウギュウと抱き締めた

「やめろ暑苦しい。さっさと行くぞ」

ゲシゲシとシノを足蹴にして無理矢理腕から逃れると少し歩調を緩めて歩き出す

「…あー、もう。敵わないなぁ」

その愛しい小さな後ろ姿を眺めてクスッと笑い

再び彼女を追い掛けた



今度は二人で並んで歩こうと思いながら