「…ったく、出発する前からこんな体力使わせるな。駄犬め」
「だってあいつが…」
「あれでも一応大事なお客様だ」
パンパンと体に付いた埃をはたき落としながら冷たく吐き捨てられしゅんと項垂れる
アレ呼ばわりされたヴァンはというと
店の前で完全に気を失っていた
勿論、弁当とその他もろもろの場所を聞いてからリィナがそうしたのだが
「次こんな真似したら本気で置いていくからな」
「…はい」
ヴァンは放置して、とりあえず都心までどのルートで行こうかと考えながらスタスタと先を行く彼女の少し後ろを大きな犬(狼)がトボトボと付いてくる
へたりと耳が垂れ、尻尾もだらんと力無く下ろしていて、見るからに元気がない
…全く、世話の焼ける犬だな