リィナの家は街外れにある古びた小さな家だ
といっても、ほぼ毎日依頼を受けているため偶にしか帰らない
ガチャンとドアノブを回して中に入ればとことこと黒のエプロンを着けて二本足で立つ犬にしては大きな獣が尻尾を振って出迎えた
「おかえりなさい、リィナさん!」
「…ただいま。犬」
「もう!俺にはシノっていう立派な名前があるって言ってるじゃないですか!」
シノと呼んでほしいとキャンキャン嘆く彼は、とある依頼で獣が統治するカイアに行ったときに出会った狼で気に入られたのかリィナにまとわりついている
「で、依頼は済んだんですよね!」
「うん。だけど、またヴァンから依頼を受けた」
「えぇ!?チッ…ヴァンの野郎め…俺たちのラブラブタイムを邪魔しやがって」
「…ご飯食べてきたから」
「無視ですか!あー、もう!お風呂沸かしてあるんで入っちゃってください!」
さっと気持ちを切り替えたシノはニコッと笑ってリィナに告げると、彼女はコクリと頷きそのまま浴室へ向かった

