Sweet Honey Baby

 なんて答えたものかと、軽く頭をひねる。


 あたしになんか興味持たないで、それこそヤることだけやって、後は適当に待遇してくれる男だった方がずっと楽だったのにな、って思う。


 見た目の俺様とは裏腹に、けっこう犬みたいな奴で、そう…人に慣れにくいのに決まった人には忠実な和犬を思わせる男だった。


 いや、別にあたしに忠実ってわけじゃないんだろうけど、少なくても嫌われていないのはわかる。


 もしかしたら、けっこう好いてくれてるのかなっていうのもね。


 それがどこまでの好意なのか、突き詰めるのが怖くて、考えないようにしていたけれど、こういうふうに心配そうに見られているとほだされてしまいそうになってくる。


 そんなのダメだ…。


 もう誰も好きになんてならない、って決めてるんだもん、あたしは。


 誰かを好きになって誰かに好かれて、そんな素敵な奇跡はもう二度とはあたしの上には訪れないし、望まない。


 手に入れた恋や愛情は本当に素晴らしくて、温かくてキラキラしているだけに、それを失った時の喪失感はなんてひどいものなのだろう。


 浩介が死んだ時の悲しみと絶望は、あたしのこれまでの人生の中で最悪の苦しみをあたしに与え、臆病にしてしまった。


 もう誰もあたしのせいで死んで欲しくない。


 もう誰もあたしを見ないで。


 そうやって目や耳を塞いで、ただ毎日をなんとなく平穏に過ごせればあたしはそれで十分だった。


 三食昼寝付。


 ついでに恩がある養父母に少しでも恩が返せて、まったく義理はないけどそれでも命を生んでくれたという実母や祖母の利益になるのだというのなら、それ以上望むことなんてなかったのに。


 やだな、と思う。


 目の前の、このエロガキで、意地っ張りで、努力家で、クソ生意気だけど優しいところもあるヤンチャ小僧に情を感じたくない。


 誰よりも…いかにもな政略結婚を望んていたのは、あたしの方だったんだ。