図書館では、ヤノウとわんこの声だけが響きわたっていた。



「ここかな。うーん。違う、もっと向こうか。」

「何探すの?ヤノウ?」

「んー?この町の歴史書。それと、あの城のこと。」

「なるほどねー。でも字読めないんだ。手伝えないや。」

「構わない。なら、ユアのところに戻って見といてくれ。」

「わかった。」

わんこは立ち上がった。

「ヤノウさ、変わったよね。」

「んー?」

本を片手に聞く。

「いや、あの子に出会ったときからさ?僕は嬉しいけどね」

「……別に。ユアはただの旅仲間だ。」

「本当に……?」

「………。さっさと行け。」

ドスドスと足跡が消えていく。わんこがいなくなってから、ため息をついた。


「大事なもの…あんま作りたくないんだけどな……」

また本を手にとり読み始めた。