気が薄れたとき、空気が一気にはいった。

解放されたのだと思った。

ケホケホとむせた後、目を開けると、ヤノウくんがいた。

だが、どこか様子が違う。

右に青い炎をまとい、右目からもでている。それに、目の周りには紋章が入っていた。


すると、ヤノウくんは王に向かっていき、拳を振るった。

王が圧倒的にやられている。


「やめて!ヤノウくん!」

「ヤノウー!正気を取り戻して!」

わんこも声をかけるが、届いていないようだ。


「……っ…ヤノウくんっ!!!!!!!!!」


ヤノウくんの拳が止まった。

目をぱちくりさせて、見ると、青い炎は消えていた。

ヤノウくんは、眉間にしわを寄せ、

「見逃してやるから、さっさと術をといて去れ。」

「わ、わかったよぉー」

半泣きの王は言うとおりにすると、どこかへ行ってしまった。

「あの人はいいんですか?」

「うん、裁けないからね。魔法は目に見えないし、ほら、見て。誰も覚えてないみたいだよ。」

わんこが短い手でさす。

少し、複雑な気持ちになった。人をたくさん殺したのに……。

女たちはそうとも知らず、ざわざわとしている。


状況を取りあえず大まかに説明したら、やはり嫌な顔をされた。もっと詳しく教えてほしいと。でも、そこはなんとかごまかして、町に帰ることにした。