Smartell a story

仕事が終わる頃には辺りが暗くなり日が落ちるのが、めっきり早くなった。魁斗はバイクでSmartellの店に向かった。前回に来た時と同じように、何に使うのか、わからない部品や材料や工具が沢山と置いてある。

「こんばんわ」

魁斗は、この店の雰囲気に馴染めずいた。入ると真剣に作業してる藍賀がいた。

「あら、佐々木さん、どうしました?どうぞ…お掛けになって下さい」

藍賀はカウンターに座って、片方の目だけ付けるルーペを外し視線を向け立ち上がり、カウンターの椅子へ魁斗を案内した。

「実は相談があるんですが…昨日…Smartellを使ってですね…」 

魁斗は昨日…Smartellを使って起きた。アプリ起動時のことを藍賀に話した。

「あら…それは、いけませんね。代わりのSmartellを持ってきますよ。交換しますから今のSmartellを出して頂けますか?」

藍賀は店の奥に向かおうとした。

「えっ、交換?」

魁斗は不思議そうに首を傾げた。

「はい、交換すれば大丈夫です。ただアプリのアプリガールキャラは変わってしまいますが、たいした問題ではありませんよ」

藍賀はニコリと微笑んだ。魁斗は嫌な予感を感じていたし初めて会った時の藍賀の様子とは違っていた。

「ああ~藍賀さん、実は、お試しの機種が大変に気に入りまして、購入しようと来たんですよ」

魁斗は機転を利かせ、ここは早く店を出た方が良いと考えた。

「購入ですか…わかりました。すぐに購入手続きをしますよ」

藍賀は一瞬、真顔で睨んだように見えたが、またすぐに笑顔に戻った。

「お願いします」

魁斗は何かあると思い悟られないよう自然に振る舞った。

「これで完了ですよ。佐々木様…何故交換をしないのですか?私としては交換した方が安全なんですけどね」

藍賀は口元は微笑んでいたが目が笑っていなかった。

「交換も考えましたが…何というか愛着ですか…手に馴染んだというか…そんな感じですよ」

魁斗は藍賀の真剣な視線に耐えきれず自分で何を言ってるのか、わからなくなり笑って誤魔化すのが精一杯だった。

「佐々木様、私はですねSmartell技術者として失敗作は許せないのですよ。完璧な製品で、お客様を満足させるのがSmartell社のモットウですからね」

藍賀の視線が鋭くなった。

「どうも…何かありましたら着ますので宜しくお願いします」

魁斗は逃げるようにして店を後にした。バイクに乗って家路に向かう途中、Smartellのバイブレーションが鳴りバイクを止め電話に出ると相手は真一だった。

「佐々木さん、大変ですよ」

真一の慌てた声が聞こえた。

「真一なんだよ!せからしか!」

魁斗は声を荒げ答えた。

「佐々木さんの言うとおり、アプリ起動をしました。さっ…佐々木さん…そっ…それがですね…」

真一は相当動揺した声で真一に話してた。

「真一!なんば、言いよるとか、わからん!アプリ起動したら人が出たんだろう?」

魁斗はハッキリ言わない真一に対しズバリ言い放った。

「えっ…あっ…何で知ってるのですか?………」

真一は魁斗の指摘に言葉に詰まり黙った。

「そんなことは、どうでんよか!真一、落ち着け!出たものは、しょうがなかろう?それより、今後どうするかだ!」

「そっ…そうですね」

「色々あってな、つい真一に当たってしまった。すまん」

「いえ、佐々木さんの一喝で、落ち着きました」

「そうか、ところで、どんなアプリの人が出たとや?男か?女か?それとも動物か?」

魁斗もイライラを吐き出して、スッキリし落ちつきを取り戻し真一のアプリが気になり好奇心に満ち溢れていた。

「女性です…しかも命令口調で厳しいのですよ」

真一は沈んだ声で魁斗に答えた。

「ハハハ…機械に命令されたか。そりゃ傑作じゃなかや。容姿は、どんな感じだ?綺麗なのか?可愛いのか?名前は付けたのか?」

魁斗は真一が女性の尻にしかれるのを想像し笑いを堪えつつ更に訊いた。

「名前?…名前まで…えっと名前は髪が金髪で綺麗なものですから…陽子と付けました。それよりも、アプリ起動で出てくることを、何で言わなかったのですか?」

真一は強い口調で訊いてきた。

「すまん、すまん。忘れてた。ハハハ…詳しい話は明日、仕事場でするけんね」

魁斗は美月のことや藍賀に相談行ったことを真一に話そうと思ったが、あの藍賀の表情が気になり自分で調べてみようと考えていた。

「わかりました。明日、仕事場で話をしましょう」

真一の沈んだ声が携帯に響いた。魁斗は携帯を切り、そのまま家路にバイクを走らせ向かった。