Smartell a story

車は真一の知り合いの店に到着した。山あいに囲まれ静かな場所だった。店は他の客はおらず魁斗達4人だけだった。オープンテラスもあるが陽子が寒いからと言いだし、店内に入った。店内には年代物だろう。アンティークの品物が多数置いてある。魁斗達は奥の窓際のテーブルに真一と陽子、向かい合うように魁斗と美月が椅子に座った。

「陽子さん、そうカリカリしないで仲良くしましょう。ここのステーキは絶品ですから、おいしいですよ」

真一が陽子に視線を向けた。

「そうね、怒っていては料理が、おいしくありませんからね。真一にしては良いこと言うじゃない」

陽子は真一に視線を向け目を閉じ頷いた。

「それにしても真一に対して上から目線じゃないのか?仮にも、お前の主だぞ」

魁斗は陽子に視線を向けた。

「ええ、確かにSmartellの主ですよ。だから主を、やらせてあげてるじゃない。文句あるの?オジン…あら、ごめんなさい。佐々木様」

陽子は鋭く魁斗に視線を向けた。

「かんに障る女だな、魁斗で構わんよ。主をやらせているじや、おかしいだろう?」

魁斗は呆れて困惑した。

「あら、美しい私の主をやれるのよ。逆に光栄に思って貰いたいわね。真一の他にも私の主に、なりたい人は沢山いるのよ。身の回りの世話から食事まで作ってくれる従順な真一が私の一番のお気に入りの下僕なのよ。ねっ、真一」

陽子は真面目な顔に戻り真一に視線を向け微笑んだ。

「そうだね。陽子さん、余計なことは言わないよ。皆のメニューは僕に任せて貰ってもいいですか?」

真一は苦笑いをした。皆、頷いてメニューは真一に任せることにした。

「主に沢山なりたい人がいると言ったよな。どういう意味だ?」

魁斗は真面目顔になり陽子に視線を向けた。

「私達アプリガールのキャラはSmartellの上層部で決められるわ。使用者はカウンセリング受けた後に適したキャラをアプリに内蔵されるわけ。例えば真一の場合は、罵ったり罵声を浴びせて喜ぶタイプだからね。だから私が選ばれたのよ。時にはSmartellの新モデルなんかは、お試しなどをさせてサンプルデータを取ってるらしいのだけど詳しいことは、わからないわ」

陽子は真一に視線を向け微笑んだ。

「カウンセリングなんて受けてなかぞ。それに、お試しだけじゃなくサンプルデータまで取られるなんて、俺は相賀さんから聞いてなか」

魁斗はあごに手を当てた。

「カウンセリングなんて受けなくてもSmartellの店員との会話で人柄は調べられてるはずよ。聞いてなくても誓約書に書いてあったはず、無条件でサンプルデータを取らせて頂きますってね」

陽子は目を閉じ頷いた。

「そこまで詳しく誓約書は読んでなかった」

魁斗は視線をそらし眉間にしわ寄せをた。

「相賀様ってSmartellの技術者の相賀様?」

陽子は陶酔して目を輝かせた。

「そう、技術者でも店員でもあるけんね。サンプルデータが…まさか監視をしてるのじゃなかろうな…なっ陽子…陽子?」

魁斗は陽子に呼びかけたが…陽子は陶酔したまま…聞いていないみたいだった。

「あいが…アイガ…相賀…聞いたことが、あるような…」

美月は眉間にしわ寄せを寄せ目を閉じ考え込んだ。

「美月、知ってるのか?」

魁斗は美月に相賀はSmartellの店員あり技術者でもあることを伝えた。

「聞いたことが、ありますが、思い出せないです。思い出そうとすると酷く頭が痛くなります」

美月は頭痛のせいだろう。つらそうに魁斗に視線を向けた。

「無理に思い出さなくてよか。徐々に思い出すけん、心配はなかよ」

魁斗は記憶メモリーを回復させる為に美月を相賀に合わせるのか否か迷っていた。しかし、何を考えてるのか、わからない相賀の表情からして嫌な予感がしてる。やはり他の方法で美月の記憶を戻そうと考えていた。

「料理が来ました。これが僕が言ってた地元産ステーキですよ」

真一は自慢げに言い放ち、鉄板の上でジューシーに焼かれたステーキが4人に配られた。流石に真一が自慢するだけあって本当に旨いステーキだった。その後、4人は美しい紅葉を見に行き日帰りで戻り休日を満喫した。