「ん…何?」



少し緊張しながらも、俺は父さんを見つめた。



「……ごめんな。お前がさみしいのに気付いてやれなくて」


「え…あ、いや別にいいんだけど」



初めて、父さんに謝られた。



申し訳なさそうな顔を浮かべている父さん。



「…全部仕事優先にして、全然お前に構ってやれなかった。すごく後悔してる」


「……うん」


「他の子供が小さい頃にしてもらったことが、ウチではやらせてあげられてないもんな……」


「い、……いいよ別に」


「…これから、できるだけ早く仕事切り上げて来る。父さんも、母さんも」


決意したように、まっすぐ俺を見た。


そんな父さんを俺も見つめ返した。



「……ありがと」


「お前が寝るまでには、帰って来るから」


「…うん」



俺は見つめていた視線をそらし、俯いた。


なんだろうな…嬉しい。


「ご飯もうすぐ出来るわよー」



1階から聞こえる母さんの声。



「さて、行くか」



どこか嬉しそうに部屋を去って行く父さん。


俺は、父さんの後ろ姿を見つめ、呟いた。







「……ほんと、ありがと」






微笑み、俺は父さんの後をついて行った。