「__…一輝、一輝」



懐かしい声が聞こえる。


「ん…かぁさん……」



ゆっくりと目を開け、その姿を確かめる。


「親が帰ってきたと言うのに寝てたのか。」



愚痴を言いながらも、何処か嬉しそうな表情をしている父さんもいる。



「お前があんなこと言うなんてな」



笑いながら頭をくしゃっと撫でられる。



「や、やめろよ」



嬉し恥ずかし、と言うようなくすぐったい感情。



「ご飯は?食べたの?」



「あ…まだ」



「じゃあ作って来るわね。待ってて」



パタパタ、と部屋を出て行く母さんの後ろ姿は、どこか嬉しそうで…


「…一輝」



部屋に残されたのは俺と父さん。


2人きりなんて、初めてに近いんじゃないかな。