〜現在〜



「寝た?」



美咲は食べられない夕食を、美咲と話しながら食べ、風呂に入ったりしていたらあっという間に10:00。


リビングではテレビが点いていて、ソファで美咲が眠っていた。



幽霊なのだから、息なんて必要ないと思うが美咲はすーすーと寝息を立てていた。



「学校行って、疲れたのか?」


授業受けてねーのに。



「お休み、美咲」



意味がないと知っているが、毛布を持ってきて美咲にかけた。



「むむ…一輝くん……我慢しちゃ、ダメだよ…」


「…え?」



寝言、だろうか。



いつか、聞いた覚えのある言葉。



「はは……偶然、だよな」



自分に言い聞かせるように呟いて、テレビを消した。



部屋に戻りながら、ケータイを探した。



“我慢しちゃ、ダメだよ。お母さんや、お父さんにはね、わがまま言っていいの!”



ケータイを操作して、母さんの電話番号を表示した。



深く息を吐いて、かけるか迷う。



無意識に、指先が震えた。



でも、初恋の美咲も幽霊の美咲も、俺の背中を押してくれたから。



発信ボタンに指を伸ばした。



コール音。

プチっと切れて、母さんと繋がった。



「もしもし?」


「もしもし、母さん」



「なあに?珍しいじゃない。一輝から電話して来るなんて」



「…次は、いつ帰って来る?」



「そうね……あぁ、毎日夜中には帰っているのよ?」