手の平を開いて、そこにある物を確認する。
自転車の鍵だ。
もう一度握りしめてから、俺は視線を前へと向けた。
俺の家はビミョーに遠いから、自転車通学が許可されている。
ちなみに言うと、かわいも。
制カバンを荷台にくくりつけて、自転車の鍵を外した。
自転車に乗って、ペダルを踏み込む。
学校を出る前に、先生に連れて行かれるかわいが見えた。
「……まだそこかよ」
相当嫌がったのだろう。
後ろ姿でもわかるほど、先生が怒っていた。
視線を感じたのか、かわいが振り向く。
目が合う前に、目をそらす。
踏み込む足にしっかりと体重を乗せてスピードを上げた。
