「……え」
「黙り込んで頭抱えてるからさ。そんなに心配してんのか?…あ、もしかしてカズ、美咲ちゃんのことす…」
キーンコーンカーンコーン……
「あ、チャイム鳴った。ほら前向けよ」
「タイミング悪すぎだろ!」
「あ、ほら先生来た」
前向けよ、怒られるぞ。と付け足すと、仕方なく前を向いた。
前向かなくても怒られるけどなー……。
「……川井、そこ山原-ヤマハラ-の席じゃないのか」
「あー…見えにくかったんで代わってもらいましたー」
「嘘つけ。お前視力Aだろ」
「……………」
「……後で職員室来い」
なんでこんなことで行かなきゃダメなんだよ、とぼやいたがそんなかわいの声に先生は反応しなかった。
……ドンマイ。
「さ、授業始めるぞ。この前の続きをー……よし、川井。読んで見ろ」
急に当てられ、慌てて教科書をめくり始めるかわい。
前の授業でぐっすり夢の世界だったかわいは、どこまでやったか知っているはずもない。
「カズー……続きって、どこだよー!」
助けを求めるように振り向くかわいから、目を逸らした。
友人への裏切り……ではなく、先生が“教えるな”と目で合図していたからだ。
あの先生、ネチネチとお説教長いしな。
結局、かわいは読まなくていい代わりに説教が2倍になった。
いや、本当に……ドンマイ。
