「わぁ。一輝くん、ヤキモチ妬いてくれるの?」
美咲までも、悪ノリする。
「ちげーよ!お前、美咲は周りの奴らに見えないこと、忘れたのか?」
「……あ」
「さっきみたいなことしたら、お前ただの変人!」
「あー…忘れてたわ」
「……ゴメンね、かわいくん」
やっと分かってくれる2人。
「いいよ。美咲ちゃんと話しすぎたオレが悪い」
「……うぅん。そっちじゃなくて…ホモ以外の新しい噂作っちゃった方」
「…え」
てへ、とする美咲。
この日、“かわいくんは扉に名前をつけて会話する変人”という不名誉な噂を新しく更新した。
俺の話を正しく理解してくれたのかは分からねーが、結果としては似たようなものなので良しとした。
話しているうちに、次の授業の時間が近づいてくる。
次の授業までサボるわけにはいかないので、教室に入って席に着いた。
自分の席に着くと、俺の周りに美咲とかわいが集まってきた。
「美咲はともかくかわい、座らなくていいのかよ」
「え?オレの席ここなんだけど」
そう言ったかわいは、俺の前の席に腰を下ろす。
「…え、そこって別の人の席…」
「席交換したんだよ!分かれよ!」
「あー、ごめん」
