ガラ……



音を立てて開いた図書室の中には、誰もいない。



「プハー!」



かわいが、まるで水の中にいて息ができなかったとでも言うように、深々と息を吐いた。



「やっと喋れる!」



廊下を歩く間、あんまり賑やかにしていてはいけないのに、かわいは“黙る”ということをなかなかしてくれなかった。



「オレの“喋る”はなー、息をするのと同意義なんだー!」



などとほざく。



「かわい。図書室にきたからってわめくな」



「ほーい」



「んで、図書室来たけど…何すんだ?」



授業が始まって、もう20分経っていた。



どこもそうかもしれないが、木立高校は1限につき50分授業。


移動時間も含めて、あと20分ちょっとぐらいしか図書室にはいられない。



「そりゃ決まってるだろ!」



「だからうるさいって…」