ちらりと美咲を見れば、ニマニマと笑っている。
「ねー!どっちを話すの?」
どっちを?
と聞く、ということは自分のことを話されてもいい、ということなのか…?
「ま、どっちを話してもかわいくん、って人には笑われると思うけどね」
かわいに目を戻す。
…初恋の人の話をすれば…。
『ブハッ!まじかよ!お前、まだ初恋引きずってんのかよ!』
…笑やがるな。
コイツなら絶対。
だけど、幽霊の美咲の話をしたら…。
『ブフォッ!お前、幽霊なんて信じてんのかよ!腹いてぇ……!』
あ、ダメだな。
どっちもダメじゃねーか!
心の中で、頭を抱える。
「おーい!カズ?」
黙り込んだ俺の頭をガッシガッシと撫で回す。
「おい、撫でんな!」
「いやだってお前…意外と髪やわらけーんだもん。仕方ねーだろ?」
…何が仕方ないんだよ。
