それを目の端で見ながら、弁当箱の下の段にご飯を詰めて行く。
「今日は…ふりかけにすっかな」
台所に備え付けてある引き出しから、卵と書かれたふりかけを取った。
袋を開けて、サラサラとかけた。
蓋をしっかり閉じて、次は2段目を開けた。
手早く卵焼きと野菜炒めを作って詰め、後は冷凍食品を使った。
「あれ?全部手作りじゃないんだ」
いつの間にか俺の手元を覗き込んでいた美咲が、言う。
「当たり前だろ。卵焼きとかはあっという間に作れんだけど、他は時間かかるしな。それに、面倒くせぇ」
弁当箱を閉めて、布でくるみながら説明する。
「さっき、2人共朝早いって言ってたけどさー…寂しくないの?」
「急に話が飛ぶな」
苦笑しながら、美咲の質問を考えてみた。
「寂しい……さぁ?もう、わかんねーって言うか…ずっとそうだしな。普通だよ」
「慣れってヤツ?」
「そーそー」
