「朝だよー。起きてー」



女性の、柔らかい声が深く眠っていた俺を起こそうとする。



柔らかい声は心地良く、逆に眠…

「起きろって!」



前言撤回。


女ほど怖いものはない。



「…はい」



……って言うか、昨日(いや、厳密に言うと今日の午前2時)のことは夢じゃなかったんだな…。



少しだけ、夢オチを期待していたのに。



「おはよ」



にっこりと笑う彼女は透けていて、向こう側から太陽の光が差し込む。



美咲は普通に美人で、太陽の光によって輝いて見えるから、まるで女神でも目の前にいるようだった。



「…はよ」



早く挨拶を返せと、目だけで睨みつけてくるので、呪われないうちに返した。



「失礼なこと考えてるでしょ」



「え?」