微笑みながら優しく言い

「迷えば迷う程、道を間違える時もあるでしょう。ですが、迷いがなければ人は道を開けないのです」

「お祖母ちゃん」

「間違いを起こしそうになれば周りが止めてくれます。その時に立ち止まり考えればよいだけ。自分の感じたままに道を進みなさい。優衣には、私や怜達がいるのですよ」

静の言葉に優衣の瞳から大粒のナミダが零れ落ちる。

「あ、あれ?」

溢れてくるナミダに優衣は、戸惑ってしまう。

「あれ?なんで?ナミダが止まらない?」

静は、笑いながら

「それは、優衣の迷いが晴れている証ですよ。答えは見つかったのでしょう?」

優衣に問い掛けると

「はい」

ハッキリと優衣は答えた。

だが…

「でも、あくまで《秋山レイナ》を終わらせる為です」

続いた言葉に静は、少し驚いた。

「それは何故?やはり、芸能活動が嫌だと言う事?」

静の問いに、優衣は首を横に振り

「《秋山レイナ》は怜です。私ではありませんから。あくまで怜の代わりにレイナの最後の舞台を演じるだけです。それからの事は、すべてが終わってから考えます」

答えた優衣の表情は、とても晴れ晴れしている。