アイドルなんて、なりたくない<font color=

「やはり来ましたね。まったく情報が早い事」

そう言ってから、玄関先に向かう。

そこには、静に負けず劣らぬ上品な女性ー秋山紫が立っていた。

「あら、紫。いらっしゃい。何の御用?」

出迎えた静に、紫はニッコリ笑って

「まあ、静ったら。ご挨拶ねえ。当然、怜に会いに来たに決まっているじゃないの」

そう言うと、静は

【ふぅっ!】

と、ため息をついてから

「相も変わらず情報が早い事で。それにケーキまで作っておくなんて、用意もいいわね」

静が感心していると

「そういう静だって、怜の好物のお饅頭を用意しているじゃないの」

紫が言うと

【ホホホ…】

と二人は笑い

「今から東屋で、お茶するのだけど、あなたもどう?」

静が聞くと

「まあ、静ったら抜け駆けですか?」

嫌味を言う紫。

静は、クスクスと小さく笑い

「それを察したから、ここに来たのでしょう?」

「あら、まあそう言う事ね」

と言ってチラリと柱の影を見る。

そこには、優衣・怜・麻衣が隠れていた。

静は、柱に振り返り

「優衣、怜、麻衣」

と、三人を手招きで呼ぶ。