「じゃあ…澤田…。
 
 
私ママとパパと弟にさよなら行ってくるよ。だからまたあの世でね。」
 
 
 
「そうだな。俺も親に一言言ってから行くわ。
 
あの世で言うのも気持ち悪いもんだな…。」
 
 
 
「そうだよね…。」
 
 
私達はそう言って俯いたまま話をしそしてそれぞれの家に戻った。
 
 
私は澤田の背中が小さくなって行くのを何度も何度見ながら帰った…
 
 
一緒に逃げよ。
私と一緒にこのゲームから逃げようよ。
 
私はたったこれだけのセリフを澤田に伝えることもできなかった。
澤田は私を守ってくれるって言った。
たったそれだけの言葉に私の心は揺らぎ参加への道を選んだ。
 
 
わたしにとって澤田ってなんなんだろ?
友達?
ううん、そんなんじゃないってゆうのはもう気づいてる。
私の心は澤田で埋め尽くされてるんだ。
澤田と未来を掴むため私は決意したんじゃない。
だからもう後にはひけない。
 
 
「ただいまーっ。
 
 
ママー、パパー。話があるからちょっと来て。」
 
 
私のただいまの声を聞き2人はリビングから飛び出て来た。
 
 
「愛美…。よかった…。」
 
 
「まだ死んでないよ。
 
 
でも今から一回死んじゃうから澤田と決めて最後に親に挨拶をって…」
 
 
「そう…。愛美…。」
 
 
泣きながらママは小さな声でごめんねとつぶやきながら抱きしめてきた。
 
 
「愛美。頑張ってな。」
 
 
「うん。ありがとねパパ、ママ。
 
 
じゃあまたね。」
 
 
ママは手を伸ばし私を止めようとしたがパパがその手を握り首を横に振った。
 
ありがとねパパ。行ってきます。
 
 
「おーい、一哉!!
 
 
どうせ聞いてるんでしょ。」
 
 
「ばれてた…。姉ちゃん死ぬの…?」
 
 
「まぁね。でも一時的にだよ。たぶん…
 
 
だからさ…お姉ちゃんとして一生のお願いするね。」
 
 
「な、何?」
 
「私のいない間パパとママのことよろしくね。
 
 
一哉ももう中2なんだから私が居なくてもしっかりしてね。」
 
 
「そんなことかよ。じゃあ言われなくても大丈夫だよ。
 
 
だから…頑張ってこいよ。絶対死ぬなよ。」
 
 
そう言って照れ臭そうに一哉は私の前から消えた。
 
 
ばーか。あんたみたいな頼りないやつに頼りっぱなしで死ねるか。
 
 
 
……。
 
 
そしてその日私は誰も居ない部屋で首吊って静かに息を引き取った。
 
 
これが私の1度目の人生の終わりそしてここから2度目の人生が始まる。
 
 
 
「ようこそ絶望の部屋へ」