【柚來side】


ふわふわって甘いチョコレートの香りがする。


この前みたいに寂しそうな顔じゃなくて寝言もない。



颯…。



大丈夫?



「…ん」


あ、起きた。



「ここどこ?」


「舞踏会が行われた会場の別室だよ」



颯は踊りができないあたしと踊ってる最中ぶっ倒れたんだよ。



熱だしあたしも心配で仕方なかったけど、颯が大丈夫って言ってたからあまり颯に熱の話をふらないようにしてた。



だけど相当酷くなってた。



あたしが舞踏会に行くの止めてホテルに戻って大人しく寝かしとけば―…。




「…気にすんな。確かにお前の熱貰ってしんどかったけど俺が身勝手に舞踏会行ったのが悪かったんだよ」



「ええっ!?そうなの?」



あ、確かに昨日熱ぽくてクラクラした。


それで颯があたしと寝て…颯にうつったんだ。


「ごめんね…、あたしも悪かったよ」


「…別に大丈…くしゅっ「くしゅっ」



あ、あたしもまだ熱完治してなかった。


くしゃみが出てしまった…。



それにドレスは薄着で少しだけ肌寒い。



「…ひゃっ」



すると颯が着ていたジャケットをあたしの頭に被せた。


視界が真っ暗…。


なにするんだ、突然。