俺は近くにいた柚來に食べかけのオムライスを渡す。
「え~!ありがとっ!なにかお礼あげないとね…」
昨日の風邪は何処いったんだよ……
すげー笑顔だしすげー食うじゃん。
「あ、柚來ちゃん神崎くんと間接キスしてる」
柚來の隣に座っていた女がそう言っている。
昨日の柚來の友達……、昨日はサンキュ。
「やっぱり王子様はお姫様と結ばれるんだよね」
「ええっ?いやいやそんなっ!」
「別に柚來ちゃんのこと言ったわけじゃないよ?ほら、あれ」
「ええええ。あのふたりっ……」
柚來って百面相だよな。
「よかったねー。あのふたりやっぱり付き合ったんだっ」
さっきまで驚いてたのに今笑顔だし瞳キラキラしてるし。
柚來の視線の先には直谷と鳳が。
鳳が直谷の口にオムライスを食わそうとしてて
「自分で食えるんだけど?別に君にやってもらわなくても」
「君じゃない。三希」
「……食事中だから話しかけないでくれる?」
「三希って読んでくれるまで話しかけるよ」
「昼食時間終わったらデートしてやろうと思ったのにこれじゃあ永遠に昼食時間じゃん」
「じゃああたしがアンタに食べさしてやる~」
なにこいつらのやり取り。
こいつら何時の間にできてたんだな。
「……柚來。俺にもあーんしてよ?」
頭痛いしあんま食欲ねぇけど。
「え、無理だよっ!」
「さっきお礼なんかくれるっつっただろ?」
「……それ撤回しました」
ほんと調子のいいやつ。
「ふーん。それなら別にいいよ?あとで貰うから」
「え、なにをっ!?」
俺は柚來の言葉を聞かずに食堂を出た。
そして部屋へ戻った―…
やばい、まじで頭いてぇわ。
これじゃあ柚來にお礼貰うどころじゃねぇな―…
柚來の母さん達と会えるかわかんねぇな。
