【柚來side】



後ろには棚。


前には颯。



あたしは完全に颯と棚に挟まれてしまいました…。




そして今、颯はあたしにママさんが今仕事してないだろ?って聞いています…。



ぶっちゃけ…



ママさんは電話で


『あたし今友達の家で飲んでるんだけどっ!あたし今日帰れそうにないかなぁ…、だから颯と柚來ちゃん二人きりになるね。だから仲直りしなよ〜!喧嘩してるんでしょ!?だから仲直り♡優しい優しい颯のお母様が協力してあげるっ!颯には飲んでるってこと秘密にしてね!まぁ仕事が長引いて帰れないとか言っとけばいいよ〜!』


そう言ってた…。



協力って別に協力してくれなくてもあたしは明日告白大会で告白するから、



それでフラれてフラれたあとは友達として仲良くできるか不安だけど友達として同居人として仲良くしようとは思う。



なのに協力って必要ないですよ!




だけど颯と二人きり…、嬉しい。




って嬉しいっていうのは口が裂けても言えないけどっ!



それにママさん何飲んでるんだろう…。




チョコレートドリンクかなぁ…。




チョコレートドリンク飲んでたらすごい羨ましいなぁ…。



チョコレートドリンク飲みたいなぁ…。




「お前聞いてんの?」


「え、は!何を?」


「…俺の話完全に聞いてねぇな。なにまさか妄想でもしてたわけ?」



あ、そういやあたし颯にママさん仕事してんの?って聞かれてたんだ。



うっかり忘れてた。



チョコレートドリンクのこと考えてた!




それより颯、妄想してたわけ?って別に妄想なんかしてない〜っ!



って以前もこんなことあったな。



なんだこのデジャブ感。




「別にっ…」



あたしは颯に壁ドンと言うか棚ドンをされ見つめられ目を逸らす。




なんか照れくさい…。



「ふーん。まあいいや、で母さんはとりあえず飲んでて帰って来ねぇんだな」




「うん!そうなの!チョコレートドリンク飲んでるのかなぁ、それともシューノンが好きなライチソーダかなぁ…」




「ほらな、やっぱ飲んでんじゃん。酒だと思うけど」



ふぁ〜!!


「なんで飲んでることを知ってるの!?」



「お前が今言ったんだろ」



え〜!!


嘘…。



あたしなに口に漏らしてんだ。



「とりあえず母さん帰って来ねぇから二人きりだな…」



「ですね、はい…」