｢俺宇佐美さんのこと好きなんだ。初恋の人って宇佐美さんなんだよ｣
…っ！
あいつの口から柚來好きって聞くなんて思いもしなかった。
だけどあいつは今柚來が初恋の人で好きって言った。
…直谷は柚來のこと好きで
柚來も直谷のこと好きなんだろ？
俺のこと嫌いで直谷と付き合ってんだろ？
｢へぇー、そうなんだ｣
お前が柚來が好きなことは随分前から知ってる。
｢やっぱり気づいてたんだね｣
まあお前が柚來にすげぇ親近してたから気付きたくなくても気付くよ。
気づいてたよ―…
｢お幸せに｣
柚來とお幸せに。
あいつも俺みたいに来る者拒まず去るもの追わずって言われてるチャラい奴と付き合うよりは確実に直谷と付き合うほうが幸せになれる気がする。
あいつは俺と違って直谷みたいな好きなやつを守れるやつと付き合った方が幸せになれる気がする。
｢え？｣
直谷はえなんて言ってるけど。
えじゃねぇよ。
なに惚けてるんだよ。
俺があいつを幸せにできなかった分、あいつを幸せにしてやれよ。
｢お前柚來のこと好きなんだろ？じゃああいつのこと守ってやれよ｣
俺があいつを守れなかった分、あいつを守ってほしい。
