離してなんかやるかよ。


「…あたし柚來大好きだから信じる」



胡桃はそう言って目から溢れる雫を拭う。




「あ、颯。胡桃さん泣かしてんじゃん!」




そしたら教室にいた女子がバカなこと言った。





だけどいやいやいや俺が泣かしたわけじゃねぇよ。



「泣かしてねぇよ…」と俺は言うものの女子は「マジで!?」と言って疑ってる。





「マジだよ…」




だけど胡桃は号泣しててさっきより涙が溢れてる。




それを、見て女子が「颯やっぱり泣かしたんだ〜」って笑ってる。





「…はぁ。ったく」




女子はたぶん俺をいじってるんだと思うけど。




胡桃が泣いてるのを松本がみたら俺ぜってー懲らしめられるな。



松本は冗談じゃなくマジになるよな。




そう思うと怖くて鳥肌がたつし


思いっきり泣くのは全然わりぃことじゃねぇんだけど




ここでこれ以上泣かれるのも困るし俺はポッケに入ってたハンカチを胡桃に渡す。



「ん…」



「え…。ありがとうっ」




俺は別にって言ってそれで窓の外を眺めた。




するとちょうどあいつが膨らました風船が割れたときだった。



あいつは外から結構離れてる校舎にも聞こえるでけぇ声で「寿命縮んだかも!ホラー全然怖くないけど風船の割れるのってすごい怖い!」とかよくわかんねぇこと言ってる。



「ホラーはこえーだろ」




「あ、颯!それに翼ー!」




俺がぽそっと呟いた声があいつに、聞こえたのか?




あいつは俺達に、気付いて呼んでいる。