理想の結婚

そして、10月27日。




涼介くんより、集合時間が早い私は支度の真っ最中。



涼介くんは涼しい顔してソファーに寝っ転がりながらテレビを見ている。
そんな姿も無駄にカッコイイんだから反則だよね。



基本、いつも私が何かする時は否定の言葉しかくれない涼介くん。



「なにそのスカートの丈、お前は売女か?!」


「それはちょっと無いんじゃない?」



もう!本当うるさい!!
ジトーッと睨むと


「全然怖くないんですけどー」


あー
もう!本当煩い!!



結局、グレーの七部丈の膝上のワンピースにストールを羽織って、
網タイツにキャメル色のパンプスを合わせれば、地味なように見えてスタイルを良く見せてくれる。それにお気に入りのアクセサリーをつけて。



このワンピースがシンプルなデザインで美希のオススメで買ったんだけど
なかなかの優れもので
着ている人をいつもの3割り増しのスタイルに仕立ててくれるのです!!



それでもケチつけるアホ涼介は無視することにして、せっせか支度をしてたら
あっという間に出る時間に。



「じゃ、行ってきます!!
涼介くんも楽しんできてね!!」



と言って、玄関の方に歩いて行ったら、テコでも動かない涼介くんが急に立ち上がって、こっちに寄ってきた。



「ちょっと待って。そこ、引っかかってる…下向いて」


と言って、ストールを一回剥がして、
首の後ろに手を回した。そして一瞬、涼介くんの吐息を感じた瞬間チクッとした。


「うわっ‼︎」



「んっ。取れた」
と言ってストールを首に掛け直してくれた。




「何かあったら、連絡して…」




「あっ、うん。
あ、ありがとう‼︎
じゃ、行ってきますね。」

と言って、家を出た。