「本当かい? 無理はしちゃいけないよ。キョウコちゃんは昔から無理しすぎてしまうからねぇ」

「ううん、本当に大丈夫。今日は早めに寝るよ。そうしたらきっとすぐ体調もよくなるよ」


 リリがまたニャァと鳴いた。リリも心配してくれてるのかな、なんて。
 まあ、とりあえず今日は早く寝る。もうアイツのことなんか思い出したくもない。夢に出てくるな。出てきたら引っぱたいてやる。

 そう決意するとリリをなでている手にぐっと力が入る。その瞬間。

「ニャッ!」

 痛い、とでも言うようにリリは私の手から逃げ出した。おまけに私の手についた引っかき傷。まったく、ひどいなぁ。文句ならアイツに言ってやってよ。

「……もう」

 手の甲からたれた血が、妙な寒気を誘っていた。