今日もまた、病室に真が来た。

いったい何がしたいのか。

そして、枕元でうつ伏して寝始めた。
この空間私は何をしたらいいのか。

困るんだよね。

その時だった。

あたしの手の甲の上に、真の手の平が重なった。

これって、寝惚けた偶然なのか。
まさか、わざと?

どっち?

私は、手を払いのけることができなかった。

心臓がバクバク鳴ってるのは確か。

わざとなら、払い除けたい。
でも、もし偶然なら・・・。

私が払いのけることで、目が覚めて、
ショックを受けるのではないか?

彼は孤独な少年なのだ。
でなければ、こんな病室で引きこもらないはず。

どうしたら、どうしたら・・・。

ただ、時間だけが過ぎる。

そしたら、真がガバっと起きた。

「あ、ごめん。寝てた。」

いつもの事ですけど。
(今日はちょっと違ったけど)

別段、何事もなかったように、普通だ。

ただ、私一人だけ、心臓バクバクしてるのが、
いつもと違う。

何か、腹が立ってきた。

(こいつ~、こいつ~!
 いつもいつも人の病室で好き勝手しやがって。)

無性に腹が立つ。
そしたら、言葉が出てしまった。

「毎日、毎日、ここに何しに来てるのよ!
 迷惑なんですけど!!」

「ごめん。帰るわ。」

あ、しまった!!
あんな事、言うつもりじゃなかったんだけど。

帰っちゃった・・・。

それから、真は病院に来なくなった。