初めて私の病室に来た以降、
真は、毎日やって来る。
初めて会った時に、
「俺のこと、真って呼んで。」
って言ったように。
勝手にわたしの事も、
「未来(ミク)、未来」って呼び捨て。
見舞いと言う感じではない。
暇つぶしか、他に行く所がないのか。
何をしに来ているのか全くわからない。
学校に馴染めなく、そこに居場所がない、
と、言ったところだろうか。
「これ、俺の愛読書だけど、
お前にやる。読め!」
口調は、命令口調。
新品で買ってきた本ではなく、読みくたびれた本を持ってくる。
変わった見舞い品だ。
でも、いつも何か寂しげだ。
せっかく来たくせに、枕元で寝こけている日もある。
かと思うと、人の病院食を、
「うまそ~。」
と言って、勝手に一口食う。
(まずいんだけどね)
って、この図々しさはなんだ?
人の病院食をつまむって。
ライオンは、サッカーの部活があるし、
時々来て、先に来ている真に驚くことがあった。
「お、来てたのか。」
そりゃそうなるよね。
もはや真は、入院患者の家族のように、
毎日毎日病院にいるのであった。
ライオンのようにゲラゲラ笑うこともなく、
寂しげな表情で、ただただ、そこにいるだけ。
学校、楽しくないのかな?
まだ、転校したてで学校に慣れてないだけなのかな?
わからないけど。
もっとわからないのは、
どうして、わたしの病室に引きこもっているのか。