そんなある日。
私は、教室では廊下側の窓際の席だったんだけど、
ガラっと窓が開いて、びっくり。
「なあなあ!」
「えっ!?」
見ると、そこにはライオン。
「な、何!?」
「教科書忘れたんだ。数学の本貸してくんない?」
な、なんで私?
クラスが違うから、授業は重ならないけど、
でもでも、なんで私?
だって、部活見学してただけで、
特にライオンとどうとかってないし。
むしろ個人的に話したこともない。
でも、そう言われちゃったら・・・。
「あ、あ、うん。はい。どうぞ。」
「サンキュ!」
なんだったんだ、今のは。
始めて会話した。
なんかドキドキした。
何げに強引な。
でも借りるなら、ナミでしょ?
だって私の後ろの席なのに。
ナミはニヤニヤして。
「なに、なに? 今の。
あんたたちいつの間に?」
「いやいや、知らない、知らない。
今日始めて話したし。」
「え~~~?」
ナミは意味深に、ニヤニヤ。
それから窓際で廊下から、ライオンの
「なあなあ!」
攻撃が、始まった。
正に私は、ライオンの獲物だ。
そして、バレンタインの前日。
「なあなあ、明日チョコくれるよな?」
「は?」なんであたしが・・・。
「なあなあ、くれるよな?」
「あ、うん。」
「よっしゃ~!!」
ウキウキして戻っていくライオン。
「うん。」って言っちゃった。
でも、悪い気はしない。あげてもいっか。
って、これって義理チョコじゃないよね。
本命チョコになっちゃうよね?
いいんか? いいか・・・。嫌いじゃないし。
、てか面白いし興味ある人だし。
正にガンガンくるライオンだ。
翌日、バレンタイン当日。
お約束通りライオンにチョコあげた。
「やった~~!!」
ちょっとハメられた感はあるものの。
なんて単純に大喜びする男なんだ?
「今日から、お前、俺のカノジョな!」
「え!?」
そうなるか・・・。
なるわな。でも、いっか。
いいんかい?
それから私はライオンのカノジョとなり、
つきあうことになった。
ガサツで開けっ広げで、嘘や隠し事がないカンジで。
とにかく楽な男だった。
「がははは」って大笑いし、友達に好かれて、
いつも彼の周りには友達が囲んでいる。
それはとても微笑ましいものだった。
ある日。親が留守中にライオンとデートした。
ナイショだった。
親は、あまり男の子と付き合うことに好意的ではなかったから。
「学生の本文は勉強!」
と、大学進学するまでは、勉強を本腰にってタイプで。
いつもは、ライオンは家の近くまで送ってくれるんだけど。
とにかく親に見つかりたくなかった。
「今日はここでいいよ。」
「こんなとこでいいの?」
「うんうん。」
交差点の前で別れた。
「あ、青だ。じゃ、またね!」
「おう、またな! 気をつけて。」
「バイバーイ!」
「バイバイ!」
割とあっさりと、見送ることもなくライオンは去っていった。
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その直後の事だった。
『キキーッ!!』
『ガッシャーン!!』
「事故だ~!だれか救急車!」
「二重事故になるから、誰か歩道まで運ぶの手伝ってくれ。」
「身分証明とか持ってないか?」
「家族に連絡。」
周りで大騒ぎになる中、私の意識は遠のく。
ピーポーピーポー・・・。