中学生の時から、
進学高校は決めていた。

かなりレベルの高い高校だが、どうしても行きたかった。

一生懸命勉強して、どうにか合格した。

クラスが決まり、後の席の女の子に

「私、開成中出身。よろしくね。」

後ろを振り向いて挨拶してみた。

「あたし、明新中。よろしく!
 ナミって呼んで!」

「あ、あたしはミク」

おっと気さくな子だ。良かった。

最初の友だちができた。

ナミが言った。
「ね、部活って入った?」
「ううん、まだ。」
「あたし、サッカー部のマネージャーになったんだけど。」
「へー。」

サッカー部のマネージャーか~。
部活って、マネージャーも有りか。

「ねね、見学していい?」
ちょっと私も興味があった。
「いいよー。」

ナミと一緒にサッカー部のグランドに行ってみた。

ふ~ん。

男子が必死でグラウンドを走り回ってる。

そんな中。

じっと見てると、おもしろい男の子がいる。

なんか、みんなを仕切ってるって言うか、
戦国武将みたいな。

あーしろ! こーしろ!
って叫んでて、うるさいし。

でも、動きがコミカルで。

「ねね、ナミ。あの妙に無駄にちょこまか動いてる子誰?」
「うぷぷ。」

なんで、笑うかな?

「うんうん、あの子ね。
おもしろいでしょ?」

あら、おもしろいんだ。
思わず吹き出すほど?

「何?」

「褒めたら伸びるタイプ。
 わかりやすいほど。」

「へ~。」

「ムッチャ、素質あるのよ。
 体格もいいしね。」

「なんて人?」

「ライオン。」

「へ?ライオン?」

「あだ名。ライオンっぽくない?」

「あ~、それっぽいかも。」

ライオンかー。うんうん。
獲物に向かってガーって行くカンジだもんな。
髪振り乱してるとこも、たてがみっぽいし。

それから、そのライオンを見てるのが妙に楽しくて、
ナミと一緒に、毎日部活に参加した。
正式ではないけど。

段々、サッカー部の部員たちも、私の事を覚えてきてて。
半ば、もうひとりのマネージャーのようになってきていた。

冷えた水用意したり。道具の整理したり。

すっかり私はマネージャーきどり。