シローせんぱいのことを考えていて、時間も気づかなかったなんて……

バカな友達でごめんね、あっちゃん……!





シローせんぱいと中庭ですごしたのは、昨日の放課後のこと。



スキな人がバレなかったのはラッキーだったけど、まさかぞくにいう壁ドンで問いつめられるなんて…!

あんなに顔が近付いたのもはじめてで、思い出すだけでまた記憶のなかに意識が飛びそうになってしまう。



けど改めて、その背の大きさと、前に立たれるだけで逃げられなくなってしまうくらい、シローせんぱいも男の人なんだと感じた。



……でもなんで、わたしのスキな人のことをあんなに知りたがったんだろ。

からかうネタに?それとも……。なんて、自分に都合のいい理由が浮かんできてしまう。



どんな顔して会えばいいんだろ。戸惑いながらも、それでも会いたい。



ぐるぐると頭をめぐらせ、少し緊張しながらついた音楽準備室。

ガラ、と音をたてて中をみれば、ベランダには今日も座っている姿。



寒いのに、また外にいる。

冷たい空気とは裏腹なぽかぽかとした日差しのなか、珍しく紺色のセーターを着たシローせんぱいの髪はまたキラキラと光る。