「えなー?おーい」

「はっ!」



目の前でひらひらと手をふるあっちゃんの姿に、わたしははっと我に返る。

そこはわいわいと皆が、それぞれにお昼ごはんを食べようとしている教室。

そう、昼休みの時間だ。



「わっ、わー!4時限目終わってたー!」

「もうとっくだよ。どうしたの、ボーッとしちゃって」




いつもなら一番に教室を出るわたしが、ひとりぼんやりとしていたことが不思議だったんだろう。あっちゃんは不思議そうに首を傾げて問う。



「ちょっと、かんがえごとしてて……」

「考え事?よっぽど深刻なこと?大丈夫?」

「う、ううんっ、全然!じゃあわたし行くねっ」



そんなあっちゃんの元を飛び出すように、わたしはお弁当の入ったランチトートを手に教室を出た。