「あっ、やべっ!」
「へ?」
すると、突然聞こえた大きな声。
やばいって、なにが?
声のした方向をとっさに振り向くと、目の前には視界いっぱいまで近付くボール。
「えっ、あっ……」
次の瞬間にはボールはわたしの顔面にバシンッ!と勢いよくあたり、倒れた体にバサバサーッとノートが散らばる音が響いた。
「っ~……」
い、いたい……。
不意うちの、しかも顔面ど真ん中にあたったボール。
痛みに泣きそうになりながら、じんじんとする顔をおさえゆっくりと体を起こす。
「わっ……わー!!大丈夫かー!?」
「わりぃ!手がすべって……」
どうやらシローせんぱいに見とれるうちに、ボールはシローせんぱいの元から他の人の手へ渡り、それが上手く飛ばずこちらへきたというわけらしい。
まずい、と先輩たちは青ざめた顔で一気にこちらへと駆け寄り、床に座ったままのわたしをとりかこんだ。



