「今日のごはんは、カレーです!」



その日のお昼休み。

いつものベランダで、目の前にドン、とカレーの入ったタッパーを置くわたしに、シローせんぱいはなんともいえない顔でこちらを見た。



「弁当にカレー……チャレンジャーだね」

「昨日の晩ごはんがカレーだったので。2日目のカレーはおいしいですよっ」

「汁もれとか大丈夫なの?」

「厳重に持ってきましたから!」



すっかり冷えて固まったカレーから、ほのかにいい匂いがただよう。

そんなわたしの隣では、シローせんぱいがコンビニで買ってきた焼きそばをたべている。



「シローせんぱいはいつも買い弁ですね」

「あー……うちの母親、毎日朝早く仕事出るから」

「へぇ……お母さん、お仕事頑張ってるんですねぇ」

「まーね。だから、朝起きると母親のその日の気分で500円か1000円が置いてある」



きぶん……。

どうやらお母さんも、シローせんぱいのようなラフな人らしい。



どんなお母さんなんだろう、やっぱり顔はシローせんぱい似?と顔を思い浮かべながら、わたしはカレーをひとくち食べた。

すると下からはまた今日も、きゃっきゃと女の子たちの声が聞こえてくる。