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それは今からちょうど一年ほど前。12月25日のクリスマス。

その日もいつも通りブルさんのおさんぽをしていたわたしは、クリスマスでにぎわう商店街の真ん中で、ちょっとした拍子に持っていたブルさんのリードを離してしまった。



『わっ……あ!まってブルさんっ……まってー!』



必死に呼びとめても止まってくれることはなく、むしろ人懐こくてにぎやかなところがだいすきなブルさんは、ものすごいスピードで消えていってしまった。



『ブルさんっ……どこ!?ブルさーん!!』



小さい体でこの人ごみに紛れてしまっては、みつかるはずもない。

けどわたしは、必死にブルさんを探した。



『ブルさんっ……ブルさぁんっ……』



見つかるはず、大丈夫なはず。そう信じて探すけれど、30分、1時間と探し続けるうちに不安はよぎる。



このまま行方不明になってしまったらどうしよう、誰かにさらわれたら、事故にあってしまったら。

だんだんと込み上げるのは、そんな嫌な想像ばかり。