とはいえ、それさえ破らなければ、かなり融通の利く街と言えた。
その証拠とでも言うように、数多の多種多様な店があちこちにある。

しかもどの店も一癖も二癖もあったり、他の国ではまず開店できそうにないものを扱っていた。

違法なんて当たり前。
それも他国での話だ。
この国ではそうではない。


おまけに、そういう輩は洩れなくスネに傷を持ってたりするのだからとんでもない。

しかし、そういった者たちも引っ括めて内包するのがこの『B.B』なのだ。

他国では許されない稼業も、この国にはあり。



その最たる稼業が『夢織師』。
通称『夢師』がいるとされる街。

いるとされるというのは、断定できるほど大っぴらに看板を掲げていないのだ。

しかし、彼らの稼業は特殊性が突出し過ぎているため、B.B以外に店を構えられそうにない。

それ故、不確かであるにも関わらず、夢師はこの街にいるとされるのだ。