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忙しなく飛び交う人々の他愛ない会話と、その傍らを結構なスピードで車が通り抜けていく。
かつては整備されていたらしい石畳も、その維持の手抜きか単なる時の流れのせいか、所々が割れたり剥がれたり、草に侵食されたりだ。
雑然と建ち並ぶ鉄筋らしいビルも、どこかくたびれた様相を晒している。
かといって寂れているのかと問われれば、それは『否』だ。
むしろ、下町のような活気に満ち溢れていた。
その活気溢れる表通りのビルとビルの隙間、ほんの少しでも道を逸れれば、そこはチンピラの屯する場となり、全く世界を隔す。

違法なもの、危険なもの、稀なるもの。

様々なものが雑多な状態で成り立つ、ここはそういう街。

スラムと呼ばれる地区を幾つか抱える、通称『Ｂ.Ｂ:ブラックボックス』。

すべての国が手出しできない、完全なる中立の国。