「…ふぅん。私の親なんて…目玉焼きの…半熟具合で喧嘩。 ばっかじゃないの」 自動販売機の温かいポタージュを飲み干した琴は、近くのゴミ箱に缶を押し込んで言った。 「…半熟じゃなくてもっと固め、黄身は少し灰色がかったやつ…ってお父さんが言ってさぁ。 お母さんはそれにキレるしさぁ……… だったら自分で作れ!とか言っちゃって」 「…へぇ」 「愛優の親はいーね」 振り向いてニコリと笑った琴は、 「あーっ、今日も頑張るぞー」 と伸びをしてから、校門をくぐっていった。