抱きしめられていながらも、腕の中でポツリ戸呟いてみる。 『奏太のバカ…』 と。 「バカで悪かったな」 言いながら私の涙は止まらず、奏太の腕の中から解放されたくない、とも思った。 「……奏太焦ってた。私見て焦ってた」 「あんな汗の量じゃ焦るだろ…座り込んでるし。誰だって焦るよ」 「……そだね」 笑いながらも、涙は溢れていた。