「どうして?だってお医者さんだといろいろ楽じゃない、収入だっていいし…しかも愛の旦那さんめちゃめちゃかっこいいらしいじゃん!!
もう永遠の幸せを手に入れたようなものじゃない!!…あ、別にお金のことじゃないけど」
そういって春架は笑った。
「……あ、ごめん。
……収入…とかあたし何変なこと言っちゃってるんだろ。
…ごめんね!!気にしないで…」
「いや………いいの。
確かに……旦那さん医者だとね…あんまり困ることないし……お金にも困らないけど…
寂しいよ」
クッキーの缶を開けると、甘い匂いが広がった。
「…帰ってくるの遅いし。帰ってきても素っ気ないし。
…朝なんて時間ないからすぐに家でちゃうし。
休みなんてないし…休日は寝てるし…」
こんなこと言うつもりじゃないのに、ポロポロと口から出てきた数々の言葉。
「ご飯だって…外で食べてくるから手料理なんて滅多に食べないし。
仕事のつきあいでお酒飲んできて…いつも奏太じゃない奏太が帰ってくるし…
いつも一人でご飯食べていつも一人で寝て……そんなことばっか…
奏太には不満しかない………」
いつの間にかポロポロと涙が出た。


