とある部屋の椅子には、濡れた服の女性が具合が悪そうに座っていて。






その隣では、横たわって泣きじゃくる子供の胸をトントン叩いてあげる奏太がいて。








「泣かない泣かない、今楽にしてあげるから」






奏太は時折脈に手を当てたり、涙を拭ってあげたりしながら点滴をさしていて。






そんな様子を、女性がずっと見守っていた。






「…蒼先生、患者さん…です」






「熱があるの?」






「微熱があります、でも低体温症だから微熱であっても辛くなってしまうみたいで。」






頷けば看護士も頷き、彼女に声をかけた。





彼女の目の前の椅子に座って、大きく上げ下げする肩が少し落ち着くのを待った。






「…蒼先生お願いします」





「うん」





看護士が上げた服の隙間から聴診器を滑り込ませて、彼女の顔色を伺うけど、目を逸らして俯いてしまって。