着替えた後、コーヒーをいれてくれたので、リビングで飲んでいた。
終わっていなかった仕事もやりながら…。
「最近忙しいの?休みとれてないみたいだけど」
「…んー、結構」
母さんは興味津々のように、洗い物をしながら聞いてきた。
父さんはというと、新聞を広げて夢中で。
「…陽なんか言ってた?俺の休みがないこととか」
「いや……港最近早く帰ってきてくれて嬉しいとは言ってたけど…」
「………」
「あ、そうだ。港には言ってなかったんだけど、お父さんこの間倒れたのよ」
「…え?」
「ね、お父さん」
夢中になっていた父さんは、顔をあげると
「ん?」
と首を傾げた。
「この間。倒れ…」
「言、言うなよ…!」
「……なんでよ。息子に伝えて何が悪いの?」
「いいんだよ、あんなこと」
「だって倒れたのは事実じゃない。」
「…それいつの話?俺ちっとも聞いてないし」
パソコンを打っていた手を止めて、聞いてみるけど…父さんは黙りこくった。
「二週間前くらいかしら。急に体調悪くなって病院に行かないで『大丈夫』って言い続けてたら………
救急車沙汰よ」
「…言うなよ母さん」
「だって家族じゃない。息子よ息子。しかもその息子が医者だって言ったら言わない他ないじゃないの」
「……」


