「コホコホ…コホコホ…」
その咳き込みに立ち止まり、すぐそばの病室のドアを開けた。
「……大丈夫」
言いかけて、季蛍さんの病室であることに気づく。
「…季蛍さん大丈夫?」
中には入らずドアの向こうに声をかけてみると、微かな『はい』が返ってきた。
「はは、大丈夫そうじゃないけど…。季蛍さん…隠さなくて大丈夫だよ?」
俺には陽の為にも早く帰ってもらいたい、という気遣いがあるんだろう。
以前そんなようなことを言っていた。
電気をつけると病室の椅子に座って息しづらそうにしていて。
「……高島呼んでくる?」
「…ん…ん……」