「…もしもし」





リビングからはそんな声が聞こえて。







数分してリビングから嬉しそうな季蛍が顔を出して。






「ねぇ!!いいって!!」






「………は?」






思いがけない許可に思わず声を上げて。







「…高島先生、いいんですよね?」







また携帯を耳に当てて、嬉しそうに季蛍は何度も頷いた。





「…ちょっと貸して、携帯。代わる」







「あッ…」






手を洗ってから携帯を奪い取って電話越しに耳を澄ませる。





「もしもーし。高島」






「あ、蒼先生。どうしたんですか?季蛍。お刺身食べていいかなんて聞いちゃって」






「高島オッケー出したの?」







「あぁ……いや、…逆にどうしてだめなんですか?」







「季蛍に話きいた?全部」







「……お刺身食べていいかどうか聞かれました」







ため息をついて季蛍の腕を掴む。






電話越しに頭にはてなを浮かべているであろう高島。





「…熱が下がったばかりで、体調が良くなったばかりだから…生ものはだめだよって言ったんだよ…俺」






「あ。そういうことですか!!」