──呼吸が正常になると、季蛍は目に涙を貯めて唇を噛みしめている。 「急にどうした?…苦しくなった?」 「…うん」 「なんで薬持ってなかった?」 「……」 「トイレで薬探してたの?もしかして」 「…ん…う」 「だめだろ…いつも持ってないと」 「…ない」 「…もう?」 目にたまった涙が一粒頬を伝い、季蛍は頷いた。