なるべく早く切り上げたつもり…。
時刻は21時。陽は寝てるだろう。
そう思って玄関に入ったとき、いつも静まっている部屋の中に、何か息遣いが聞こえた。
「…陽?」
荷物を下ろして、息遣いの聞こえる寝室のドアを開ける。
横になる陽の顔色は最悪で、小刻みに体が震えていた。
「陽、」
抱き上げた陽をリビングまで連れて行き、ソファにおろす。
座らせればぐったりと俺にもたれかかって、肩を上げ下げさせた。
「…陽、一回落ち着こ。息吐ききって」
「……ッこ、」
「喋るな。……苦しい?」
頷いた陽の背中をさすって、少し呼吸が落ち着くまで待った。