が、それに反抗するように俺の腕を引っ張る愛優。
「…行かないッ」
「……いい加減にしろ。…病院の中であーだこーだって口出ししたくないから」
「嫌、ぜぇったいに行かない」
「………呆れる」
「…パパは何にもわかってない!!大丈夫だって言ってるのに病院にまで連れてきて!!」
「愛優、」
「大丈夫だって言ってるのに!
無理矢理病院に連れてこなくったっていいじゃん!!元気なんだから!!」
「わかった、」
「病院病院ってなんか責められてるみたいに言ってさ!!」
「わかったから…愛優、落ち着けよ」
待合室の周りの患者さんの目がちらほら集まる。
「……わかったから」
すぐに興奮するんだから…
そんな愛優を引っ張って、さっき電話を入れておいた診察室へ向かった。
「だから帰るんだってば……ッ…ハァ………ハァ…」
「わかってる。わかってるから落ち着け…、な?」
「……ハァ…」
とある診察室の中に入ると、そこには椅子に座ってクルクル回る奏太。
「あ、来た」
「ごめん、遅くなった」
「…大丈夫だけど……何かあった?」
俺は愛優の服を握り、愛優は俺の腕を握る。
そんな状況を見ておかしいとでも思ったのであろう。
「……大丈夫。
…あ、ちょっと愛優興奮気味で。息切れてるけど気にしないで」
「……あ、あぁ」
「座って」
ゆっくり腰を下ろした愛優は、下を向いて俯いた。
「……ちょっと機嫌悪いし、すぐに興奮しちゃうけど……まぁよろしく」
「りょーかい、任せて~」


